はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
銘柄の基礎情報
今回ご紹介するのは、電子計測器や電子部品の専門商社である日本電計(東証プライム:9908)です。
日本電計は、研究開発から生産現場、品質管理に至るまで、幅広い産業分野で必要とされる最先端の電子計測器、電子部品、科学分析機器、産業機器などを提供しています。単に製品を販売するだけでなく、顧客の課題解決に向けた技術サポートやシステムソリューションも展開しており、日本のものづくりを根底から支える重要な役割を担っている企業と言えるでしょう。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 205,000円(2,050円/株)
- PBR : 0.80倍
- PER : 7.73倍
- 配当利回り : 4.39%
- (2025年10月23日(木)時点)
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!
高配当とPBR割安感は魅力的だけど、収益性の改善をもう少し見守りたいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント] PBR割安・高配当で財務も安定しているけど、収益性の改善に期待したいぽん!
A. 成長性 : △
日本電計の収益性については、直近でやや不安定な動きが見られます。提供された情報によると、純利益率が前年同期比で低下し、営業利益率も勢いが弱まっているとのこと。ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)も目安水準に概ね沿う範囲ではあるものの、直近ではやや弱い動きを示しており、全体的に収益性は不安定な状況にあると言えるでしょう。
しかし、同社が扱う電子計測器や電子部品は、DX(デジタルトランスフォーメーション)、IoT、AI、EV化といった現代のメガトレンドにおいて不可欠なものです。特に半導体需要の高まりや、新たな技術開発の加速は、計測器や部品へのニーズを押し上げる要因となります。専門商社として、これらの市場変化にどう対応し、収益改善に繋げていくかが今後の成長の鍵となりそうです。
B. 割安性 : ◎
割安性という点では、日本電計は非常に魅力的な水準にあります。PER(株価収益率)は7.73倍、PBR(株価純資産倍率)は0.80倍と、ともに市場平均や同業他社と比較しても割安感があります。特にPBRが1倍を下回っていることは、会社の純資産に対して株価が低く評価されていることを示唆しており、潜在的な価値があると考えられます。さらに、配当利回りが4.39%と高い水準にある点も、インカムゲインを重視する投資家にとっては大きな魅力となるでしょう。例えば、PBRが割安で高配当の企業としては、TOA(6809)やリーダー電子(6867)など、他にも魅力的な銘柄がありますね。
C. 安全性 : 〇
財務の安全性については、おおむね安定していると評価できます。自己資本比率は40.2%と、一般的に望ましいとされる30%を上回っており、財務基盤は比較的健全と言えるでしょう。これは、急な景気変動や予期せぬ事態に対しても、一定の耐性があることを示しています。ただし、有利子負債は増減を繰り返しつつ直近は増加傾向にある点や、EPS(1株当たり利益)の振れ幅が大きい点は、今後の動向を注視する必要があるかもしれません。しかし、全体としては、堅実な経営がなされていると見受けられます。
日本電計の事業と市場トレンド
日本電計の事業は、現代社会の技術革新と密接に結びついています。電子計測器は、スマートフォンから自動車、医療機器、宇宙開発に至るまで、あらゆる製品の研究開発、品質管理、生産プロセスにおいて不可欠なツールです。例えば、5G通信の普及や次世代半導体の開発には、高度な計測技術が欠かせません。
また、電子部品のサプライチェーンにおいて、商社はメーカーと顧客を結ぶ重要な役割を担っています。多様なメーカーの製品を組み合わせ、顧客のニーズに最適なソリューションを提供する能力は、技術革新のスピードが速い現代において、その価値を増しています。特に、近年注目されるEV(電気自動車)化の進展は、車載電子部品の需要を大きく押し上げており、日本電計のような専門商社にとっては新たなビジネスチャンスが広がっています。通信インフラ関連の電子部品を扱う帝国通信工業(6763)なども、同様に市場トレンドの恩恵を受ける可能性があります。
半導体供給リスクと商社の役割
このような状況下で、電子部品のサプライチェーンにおけるリスク管理は、ますます重要になっています。最近、Nexperiaが日本の自動車メーカーにチップ供給リスクを警告したというニュースがありました。
Nexperia alerts Japanese carmakers of possible chip supply risk – Automotive World
この記事によると、半導体メーカーのNexperiaが日本の自動車業界の顧客に対し、チップ供給の保証ができなくなる可能性を通知したとのことです。これを受け、日本自動車工業会(JAMA)は、会員企業がこの影響を軽減するための対策に取り組んでいると発表しています。
このニュースは、日本電計のような電子部品商社にとって、直接的な事業環境の変化を示唆しています。半導体チップの供給が不安定になると、自動車メーカーは生産計画の見直しを迫られ、関連する電子部品の需要にも影響が出る可能性があります。しかし、見方を変えれば、これは商社がその真価を発揮する機会でもあります。
- リスク分散の支援:特定のサプライヤーからの供給が途絶えるリスクがある場合、日本電計は複数のメーカーから部品を調達するネットワークを活かし、顧客が安定的に部品を確保できるよう支援することができます。
- 代替品の提案:供給が困難な部品に対して、同等の機能を持つ代替品を迅速に提案する技術力と情報力は、商社の競争優位性となります。
- サプライチェーンの最適化:顧客の生産計画に合わせて、効率的な在庫管理や物流を提案することで、サプライチェーン全体のレジリエンス(回復力)向上に貢献できます。
このように、半導体供給リスクの高まりは、日本電計の事業に短期的な変動をもたらす可能性はあるものの、長期的に見れば、商社としての専門性や提案力がより一層求められる時代が来ていることを示しています。同社がこの変化にどう対応し、顧客の信頼を勝ち取っていくかが、今後の成長戦略において重要なポイントとなるでしょう。
まとめ
日本電計は、PBRが割安で高配当という魅力的な投資指標を持つ一方で、自己資本比率も安定しており、財務健全性も評価できる企業です。しかし、直近の収益性にはやや不安定さが見られ、今後の改善が期待されます。電子計測器や電子部品という事業領域は、DXやEV化といった技術トレンドの恩恵を大きく受ける可能性を秘めています。特に、半導体供給リスクが高まる現代において、専門商社としてサプライチェーンの安定化に貢献できるかが、その存在価値を一層高めることにも繋がるでしょう。
投資を検討される際には、これらの割安性や高配当といった魅力と、収益性改善への期待、そして外部環境の変化への対応力といった点を総合的に見極めることが大切です。今後の日本電計の事業戦略と市場の動向に注目していきたいですね。


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