はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
今回は、無線通信機器の分野で長い歴史と確かな技術力を持つアイコム(6820)についてご紹介します。アイコムは、アマチュア無線機器から業務用無線、IP無線、さらには衛星通信機器まで、幅広い無線通信ソリューションを提供している企業です。災害時の通信手段や、ビジネスにおける効率的な情報伝達、そして趣味の世界まで、私たちの生活の様々な場面でその技術が活用されています。特に、その盤石な財務基盤は多くの投資家から注目されているポイントと言えるでしょう。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 前日終値 : 2,818円(2025年12月18日)
- 始値 : 2,800円(2025年12月19日)
- 高値 : 2,838円(2025年12月19日)
- 安値 : 2,800円(2025年12月19日)
- 最低投資金額 : 283,500円(2,835円/株)
- PBR(実績) : 0.60倍
- PER(会社予想) : 20.55倍
- 配当利回り(会社予想) : 2.12%
- 1株配当(会社予想) : 60.00円(2026年3月期)
- 株主優待 : 現在のところ、株主優待制度は設けていないようです。
(2025年12月19日(金)時点)
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!今すぐ買いたいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント]:超堅実な財務基盤と、通信技術の進化がもたらす未来の可能性に期待ぽん!
A. 成長性 : △
アイコムの収益性を見ると、残念ながら悪化傾向が見られます。営業利益率や純利益率は前年同期比で低下しており、直近の動きもやや勢いを欠いているようです。ROE(株主資本利益率)とROA(総資産利益率)も、一般的に望ましいとされる目安には届いておらず、収益面では不安定な状況にあると言えるでしょう。
しかし、無線通信という事業の特性を考えると、将来的な成長の可能性は秘めていると私は見ています。5Gの普及、IoTデバイスの増加、AI技術の進化に伴うデータ通信量の爆発的な増加は、通信インフラ全体に新たな需要をもたらすでしょう。アイコムが強みを持つ業務用無線や衛星通信は、災害対策や社会インフラ維持、さらには新たな産業分野での活用が期待されます。
例えば、通信事業者の動きを見てみると、マレーシアの通信大手Axiataは、AI時代に向けた労働力育成にコミットしていると報じられています(Axiata affirms commitment to Living Wage policy, prepares workforce for AI Era – markets.businessinsider.com)。このような通信業界全体のAI活用へのシフトは、より高度で効率的な無線通信システムの需要を喚起し、アイコムの技術が新たなソリューションとして貢献する機会を増やすかもしれません。現状の収益性には課題があるものの、次世代通信技術の進展にどう対応し、新たな市場を創造していくかが、今後の成長の鍵となりそうです。
B. 割安性 : 〇
アイコムの株価指標を見ると、PBR(実績)が0.60倍と、純資産に対してかなり割安な水準にあることが分かります。これは、企業の持つ資産価値に対して株価が低く評価されている状態を示しており、いわゆる「割安株」として注目する余地があるかもしれません。
一方で、PER(会社予想)は20.55倍と、現在の収益性の悪化傾向を考慮すると、決して超割安とは言えない水準です。しかし、将来的な通信技術の進化や、それに伴う事業機会の拡大への期待が株価に織り込まれている可能性も考えられます。また、配当利回り(会社予想)は2.12%と、現在の低金利環境下では安定したインカムゲインを求める投資家にとって魅力的な水準と言えるでしょう。
最低投資金額は283,500円(100株)からとなっており、比較的まとまった資金が必要になります。株主優待制度は現在のところありませんが、PBRの割安感と安定した配当は、長期的な視点での投資妙味となり得ると考えられます。
C. 安全性 : ◎
アイコムの最大の魅力と言えるのが、その圧倒的な財務の安定性です。自己資本比率は91.2%と非常に高い水準を誇っており、一般的に優良とされる30%や50%を大きく上回っています。これは、借入金などの負債に頼らず、自社の資金で事業を運営している割合が極めて高いことを意味します。外部環境の変化や経済の変動に対しても非常に強い耐性を持っていると言えるでしょう。
このような盤石な財務基盤は、経営の安定性はもちろんのこと、将来的な研究開発投資やM&Aといった成長戦略を実行する上での大きな強みとなります。例えば、同じく高い自己資本比率を誇る企業として、エクスモーション(2159)も自己資本比率90.5%を達成しており、その財務の安定性が事業拡大の基盤となっています。アイコムも同様に、この強固な財務力を背景に、今後の事業展開に期待が持てます。
ただし、EPS(1株当たり利益)は前年同期比で伸び悩みが見られ、やや振れがある点には注意が必要です。しかし、この超高水準の自己資本比率は、企業の存続リスクが極めて低いことを示しており、長期的な視点で安心して投資を検討できる大きな要因となるでしょう。


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