はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
光ビジネスフォーム(7946)ってどんな会社?
今回ご紹介するのは、東証スタンダード市場に上場している光ビジネスフォーム(7946)です。社名に「ビジネスフォーム」とあるので、紙の伝票や帳票などの印刷物をイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんね。確かに、同社は創業以来、ビジネスフォーム印刷を基盤として事業を築いてきました。
しかし、現代のビジネス環境はデジタル化が急速に進んでいます。そんな中で光ビジネスフォームは、時代の変化にしっかりと対応し、事業の幅を大きく広げています。具体的には、データプリントサービス(DPS)や、個人情報などの重要情報を扱う情報セキュリティ関連事業、さらにはWebシステム開発や電子帳票ソリューションなど、情報処理サービス全般を手掛ける企業へと進化を遂げているんです。
特に強みとしているのは、高度な情報処理技術とセキュリティ体制を活かした、「情報」のライフサイクル全般をサポートするサービスです。例えば、企業が顧客に送る請求書や明細書などの大量のデータを印刷・封入・発送するだけでなく、そのデータ自体を安全に管理したり、電子化してWeb上で閲覧できるようにしたりといったソリューションを提供しています。デジタルとアナログの両面から、企業のビジネスを支える縁の下の力持ちのような存在と言えるでしょう。
それでは、直近の主要な指標を見てみましょう。(2025年10月23日(木)時点)
- 最低投資金額 : 127,000円(1,270円/株)
- PBR : 0.75倍
- PER : 78.11倍
- 配当利回り : 3.15%
- 株主優待 : なし
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!少し下がってきたら買いたいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント]
PBR1倍割れの割安感と高配当、超健全な財務が魅力!情報処理サービスへの転換で成長期待も!
それでは、3つの観点から詳しく見ていきましょう。
A. 成長性 : △
光ビジネスフォームは、従来のビジネスフォーム印刷から、データプリントサービスや情報セキュリティ、Webシステム開発、電子帳票ソリューションといった情報処理サービスへと事業の軸足を移しています。これは、紙媒体の需要が減少する中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗ろうとする前向きな姿勢の表れと言えるでしょう。
特に、個人情報保護の重要性が増す現代において、同社が培ってきた情報管理やセキュリティに関するノウハウは大きな強みとなります。企業が扱う大量のデータを安全に処理し、電子化・デジタル化を支援するサービスは、今後も需要が見込まれる分野です。
しかし、指標を見ると、PERが78.11倍とかなり高水準です。これは、将来の成長期待が株価に大きく織り込まれていることを示唆している一方で、現在のEPS(1株あたり利益)が16.26円と低いことから、現状の収益性にはまだ課題があるとも考えられます。PBRが1倍割れであるにも関わらずPERが高いのは、利益率の改善や事業転換による本格的な収益貢献がこれから、という段階なのかもしれませんね。ROEも1.72%と、まだ資本を効率的に使って利益を生み出す力が十分とは言えない状況です。
事業転換の方向性は評価できるものの、それが具体的な収益成長として明確に表れるまでには、もう少し時間が必要かもしれません。
B. 割安性 : △
光ビジネスフォームのPBRは0.75倍と1倍を大きく下回っており、会社の持つ純資産に対して株価が割安であるという見方ができます。また、配当利回りも3.15%と、現在の低金利環境下では魅力的な水準です。株主優待はありませんが、配当による還元はしっかり行われている印象です。
一方で、先ほど成長性の項目でも触れましたが、PERが78.11倍と非常に高い点が気になります。一般的にPERが高いと割高と判断されがちですが、これは投資家が将来の成長に大きな期待を寄せていることの裏返しとも言えます。ただし、現在の利益水準からすると、このPERはかなり挑戦的な評価と言わざるを得ません。PBRの割安感と配当利回りの高さは魅力的ですが、PERの高さが割安感を相殺している部分があるため、総合的には「△」と評価しました。
PBRが1倍割れの銘柄に興味がある方は、同じくPBRが割安で財務が健全な企業として、TOA(6809)や昭和真空(6387)、光世証券(8617)などの記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。
C. 安全性 : ◎
財務の健全性に関しては、自己資本比率が84.1%と非常に高く、これは特筆すべき点です。一般的に自己資本比率が50%を超えると優良企業と評価されることが多い中で、80%を超える水準は極めて盤石な財務基盤を持っていることを示しています。借入が少なく、外部環境の変化にも強い体力があると言えるでしょう。
また、BPS(1株あたり純資産)が1,686.08円と、現在の株価1,270円を大きく上回っています。これは、会社が解散した場合でも、株主には理論上、株価以上の資産が分配される可能性があることを意味しており、投資家にとって安心材料となります。キャッシュフローも安定していると推測され、経営の安定性は非常に高いと評価できます。この圧倒的な財務の安定性は、同社の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
情報処理サービスの未来と光伝送技術の進化
光ビジネスフォームは、ビジネスフォーム印刷から情報処理サービスへと大きく舵を切っています。この情報処理サービスという分野は、日々進化するテクノロジーによってその可能性が広がり続けています。
例えば、情報処理の基盤となる通信技術の進化は、同社の事業にも間接的に影響を与える可能性があります。最近のニュースで、通信技術の分野で注目される動きがありました。ファーウェイが「Network X 2025」において、2年連続で「最も革新的な光伝送ユースケース」賞を受賞したというものです。(参照:Huawei Wins the “Most Innovative Optical Transport Use Case” Award for Two Consecutive Years at Network X 2025 – Telecoms)
この記事によると、ファーウェイは光伝送技術への先駆的な貢献と、その応用によるメリットが評価されたとのことです。光伝送技術の革新は、大量のデータを高速かつ効率的に、そしてセキュアに伝送する能力を高めます。光ビジネスフォームが手掛けるデータプリントサービスや情報セキュリティ事業では、企業が扱う膨大な顧客データや機密情報を扱うため、そのデータの収集、処理、そして伝送の各段階における信頼性と速度は極めて重要です。
直接的な関連性ではないかもしれませんが、このような基盤技術の進化は、光ビジネスフォームが提供する情報処理サービスの品質向上や、新たなソリューション開発の可能性を広げる土台となり得ます。例えば、より高速でセキュアなネットワーク環境が普及すれば、クラウドベースの電子帳票サービスや、リアルタイムでのデータ連携サービスなど、より高度な情報処理サービスの需要が拡大するかもしれません。光ビジネスフォームが、こうした技術革新の恩恵をどのように取り込み、自社のサービスに活かしていくのか、今後の動向が注目されますね。
まとめ
光ビジネスフォームは、PBR1倍割れ、高配当、そして非常に高い自己資本比率という魅力的な財務基盤を持つ企業です。従来の印刷業から情報処理サービスへと事業の転換を進めており、今後の成長に期待が持てます。
一方で、PERの高さやROEの低さから、現在の収益性や成長の実現にはまだ課題が見られます。しかし、盤石な財務基盤は、今後の事業投資やM&Aなど、成長戦略を実行するための大きな強みとなるでしょう。情報処理サービスという成長分野で、同社がどのように収益性を高め、企業価値を向上させていくのか、中長期的な視点で注目していきたい銘柄です。


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