◯(7731)ニコン : 新社長が挑むASMLとの価格勝負:3Dプリンター投資で再成長狙う

銘柄紹介

本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。

1. 銘柄の基礎情報

本日ご紹介するのは、世界的な知名度を誇る精密機器メーカーのニコン(7731)です。ニコンといえば、多くの人が高性能な一眼レフカメラやミラーレスカメラを思い浮かべるでしょう。しかし、現在のニコンはカメラ(映像事業)だけでなく、半導体や液晶ディスプレイの製造に不可欠な「露光装置」を手がける精機事業、顕微鏡や眼底カメラなどのヘルスケア事業、さらには産業用ロボットや3Dプリンターなどの産業機器分野まで、高度な光技術を核とした多角的な事業展開を行っています。

直近の業績においては、構造改革費用や減損損失の計上により一時的に厳しい決算となっていますが、2026年4月に就任した大村泰弘新社長のもと、劇的な復活に向けた新たな一歩を踏み出しています。まずは、直近の主要指標を確認してみましょう。

最低投資金額 : 184,450円(1,844.5円/株)
PBR : 1.04倍
PER : 60.75倍
配当利回り : 1.08%
株主優待 : なし
(2026年5月29日(金)時点)

2. ぽんぽん的な評価

〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!

今は構造改革の真っ最中で、2026年3月期の大幅赤字が嫌気されて株価は調整局面にあるぽん。でも、新社長が打ち出した「ASMLとの価格勝負」や「3Dプリンターへの集中投資」という復活シナリオには、大きなロマンを感じるぽん!今すぐ飛びつくよりは、年初来安値(1,618円)に近い1,600円〜1,700円あたりまで十分に引きつけてから、中長期目線で仕込みたいぽん〜!

3. 評価の理由

[評価の注目ポイント]
2026年3月期の大幅赤字からの復活を期し、新社長のもとで半導体露光装置の「ASMLとの価格勝負」や3Dプリンターへの集中投資を進める構造改革の行方に注目だぽん!

A. 成長性 : △

2026年5月8日に発表された2026年3月期決算は、売上収益が前年同期比5.3%減の6,771億円、営業損益が1,124億円の赤字、当期損益が860億円の赤字と、非常に厳しい赤字転落となりました。カメラ事業は堅調だったものの、精機事業における露光装置の販売減少や、将来に向けた構造改革に伴う減損損失が重くのしかかりました。2027年3月期はEPS(1株当たり利益)30.36円と黒字転換を見込んでいますが、本格的な成長軌道に戻るには、仕掛けている新規事業の立ち上がりを見極める必要があります。

B. 割安性 : △

株価は直近で下落しているものの、業績悪化に伴ってPERは60.75倍と高水準に跳ね上がっています。PBRは1.04倍と、企業の解散価値とされる1倍に極めて近い水準まで売り込まれており、資産面での下値余地は限定的と言えます。しかし、配当利回りが1.08%(会社予想:1株当たり年間20円)まで低下しているため、インカムゲイン目当ての投資家にとっては、現時点での割安感はやや物足りない印象です。

C. 安全性 : 〇

直近の自己資本比率は54.6%となっており、一般的に健全とされる50%のラインを維持しています。2026年3月期の大幅赤字によってROE(自己資本利益率)は-14.06%と大きく悪化し、有利子負債も増加傾向にありますが、手元資金や光技術の知的財産価値を考慮すれば、財務的な破綻リスクは極めて低いと言えます。ここからの安全性維持は、構造改革によっていかに早くキャッシュフローを改善できるかにかかっています。

4. 新社長が挑む「ASMLとの価格勝負」と復活へのロードマップ

ニコンの今後の命運を握る最大の鍵は、2026年4月に就任した大村泰弘社長が率いる新体制の戦略にあります。ニコンは現在、半導体露光装置の分野で圧倒的なシェア(8割以上)を誇るオランダの巨人・ASMLホールディングスに対して、真っ向から勝負を挑もうとしています。

日本経済新聞の報道「ニコン社長、半導体装置「ASMLと価格勝負」 インテル依存脱却目指す」によると、ニコンはASMLの製品に比べて「安価」に装置を提供することで、失った市場シェアを奪還する戦略を打ち出しています。大村社長は「自前で作る部分が多く、コスト競争力では優位に立てる」と語っており、最先端の極端紫外線(EUV)露光装置で独占状態にあるASMLに対し、ニコンはボリュームゾーンである深紫外線(DUV)露光装置や、成熟プロセス向けの装置でコストパフォーマンスを武器に切り込む構えです。

また、これまでのニコンは米インテルなどの特定の大顧客に売上の多くを依存する体質があり、顧客の投資抑制がそのままニコンの業績直撃につながる弱点がありました。新体制ではこの「インテル依存」からの脱却を掲げ、中国市場をはじめとするアジア圏や、パワー半導体・アナログ半導体を手がける多様な顧客へのアプローチを強化しています。

さらに、日経クロステックの「ニコン、半導体と3Dプリンターに集中投資 復活へ「稼ぐ・育てるを区別」」で報じられているように、ニコンは2031年3月期までの中期経営計画において、半導体露光装置の競争力強化と並び、金属3Dプリンター事業への集中投資を明言しています。デジタルマニュファクチャリング分野を次の柱として「育てる」ために、2026年3月期に過去の負の遺産を減損処理という形で一気に「膿出し」したのです。この徹底した構造改革こそが、直近の大幅赤字の正体であり、2027年3月期以降のV字回復に向けた助走期間であると捉えることができます。

5. 投資スタンスと他銘柄との比較

半導体関連セクターに投資する際、私たちはどうしても圧倒的な成長力と高い収益性を誇る銘柄に目を奪われがちです。例えば、半導体試験装置で世界首位級のシェアを持ち、驚異的なROEを叩き出しているアドバンテスト(6857)のような超優良企業は、成長株投資の王道と言えます。

しかし、現在のニコンはそうした「きらびやかな成長株」ではなく、構造改革によって劇的な復活を目指す「ターンアラウンド(業績再生)銘柄」としての魅力を持っています。2026年3月期に大赤字を出して株価が調整した今だからこそ、PBR1.04倍という解散価値水準で、世界屈指の光技術を持つ企業を「安く仕込む」チャンスが巡ってきているとも言えるのです。

投資戦略としては、目先の赤字決算やアナリストの予想引き下げに惑わされず、大村新体制が掲げる「ASMLとの価格勝負」による受注獲得のニュースや、3Dプリンター事業の黒字化に向けた進捗をじっくりと監視していくことが重要です。株価が年初来安値の1,618円に接近するような局面があれば、そこは絶好の「仕込み場」となる可能性を秘めています。日本のものづくりのプライドをかけたニコンの逆襲劇に、中長期の視点で投資のロマンを賭けてみるのも面白いのではないでしょうか。

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