はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
加藤製作所(6390)の基礎情報
今回ご紹介するのは、建設機械や移動式クレーンの製造・販売を手掛ける加藤製作所(6390)です。私たちの生活を支えるインフラ整備や建設現場で、その技術力が光る企業ですね。
加藤製作所は、長年にわたり培ってきた技術と経験を基に、高性能で信頼性の高い油圧ショベルやクレーンなどを世界中に提供しています。特に、移動式クレーンにおいては国内トップクラスのシェアを誇り、災害復旧現場や大規模プロジェクトなど、様々な場所でその存在感を発揮しています。
直近の営業日(2025年10月3日時点)における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 135,300円(1,353円/株)
- PBR : (連)0.36倍
- PER : (連)13.05倍
- 配当利回り : 5.17%
- 1株配当(会社予想) : 70.00円(2026/03)
- 時価総額 : 15,889百万円
- 自己資本比率 : (連)43.4%
- ROE : (連)-12.70%
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!PBRの超割安感と高配当は魅力的だけど、成長戦略とROEの改善に注目したいぽん!
評価の理由
[評価の注目ポイント]: PBR0.36倍と配当利回り5.17%の極端な割安感、そしてインフラを支える建設機械分野での盤石な地位に注目ぽん!
A. 成長性 : △
加藤製作所の売上や利益は、建設投資やインフラ整備需要、そして海外市場の景気動向に大きく左右される傾向があります。過去数年の推移を見ると、市場環境の変化に応じて変動が見られます。特に、現在のROEがマイナスとなっている点は、収益性改善が今後の大きな課題であることを示しています。しかし、同社は海外展開にも力を入れており、新興国でのインフラ需要の拡大は中長期的な成長ドライバーとなり得ます。また、環境規制への対応や省エネ・自動化技術の導入など、製品の付加価値向上に向けた取り組みも進められています。今後の成長には、これらの戦略がどれだけ実を結ぶかが鍵となるでしょう。
B. 割安性 : ◎
加藤製作所の財務指標を見ると、非常に割安感が際立っています。PBRは0.36倍と、企業の純資産に対して株価が極めて低い水準にあります。これは、企業が持つ資産価値から見ても、市場からの評価が低いことを示しており、いわゆる「解散価値」よりも低い水準と言えます。PERも13.05倍と市場平均と比較しても割安感があり、さらに配当利回りは5.17%と非常に高水準です。これは、株主還元への意識の高さを示すものであり、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力的なポイントです。ただし、ROEがマイナスである点は、その割安さの背景にある収益性の課題を考慮する必要があります。
C. 安全性 : 〇
自己資本比率は43.4%と、製造業としては比較的健全な水準を保っています。これは、外部からの借入に過度に依存せず、安定した経営基盤を持っていることを示します。建設機械業界は大規模な設備投資が必要となることもありますが、この自己資本比率であれば、ある程度の経済変動や事業環境の変化にも耐えうる体力があると言えるでしょう。ただし、前述のROEのマイナスが示すように、現在の収益性には課題があり、これが長期的に財務の健全性に影響を与えないよう、収益構造の改善が求められます。
製造業の根幹を支える「安全」への意識
加藤製作所が手掛ける建設機械や移動式クレーンは、まさに社会インフラを構築し、私たちの生活を豊かにするために不可欠な存在です。これらの機械は、時に危険を伴う現場で使用されるため、製品自体の安全性はもちろん、製造現場における安全への意識は極めて重要となります。
最近の業界動向として、製造業における安全の重要性が改めて注目されています。例えば、外部記事「Faces of Manufacturing: Be Selfish About Your Safety – IndustryWeek」では、「自分の安全に貪欲であれ(Be Selfish About Your Safety)」というメッセージが掲げられています。これは、製造業に携わる一人ひとりが、自分自身の安全を最優先に考え、積極的に安全な行動をとることの重要性を説いています。製造現場では、効率性や生産性が追求されがちですが、その土台には常に「安全」がなければなりません。従業員一人ひとりが安全意識を高め、危険を未然に防ぐ文化が根付くことで、初めて持続可能な生産活動が可能になります。
加藤製作所のような重機メーカーにとって、この「安全」というテーマは多角的に関わってきます。まず、製造する製品そのものの安全性です。クレーンや油圧ショベルは、その操作ミスや故障が重大な事故に直結する可能性があります。そのため、設計段階から最新の安全基準を満たし、過酷な使用環境にも耐えうる堅牢性、そしてオペレーターが安全に操作できるような工夫が凝らされています。例えば、視界の確保、緊急停止機能、過負荷防止装置など、様々な安全装置が組み込まれていることでしょう。これらの技術革新は、現場で働く人々の命を守るだけでなく、作業効率の向上にも寄与します。
次に、加藤製作所の製造現場における安全です。重機を製造する工場では、大型部品の運搬や組み立て、溶接作業など、危険を伴う作業が多く存在します。従業員が安心して働ける環境を整備することは、企業の社会的責任であると同時に、品質の高い製品を生み出すための基盤となります。安全教育の徹底、危険箇所の改善、最新の安全設備の導入など、継続的な取り組みが求められます。
このように、加藤製作所は、製品を通じて社会の安全に貢献するとともに、自社の製造活動においても安全を追求する姿勢が、企業価値を高める上で非常に重要であると言えます。PBRが低く評価されている現状において、財務諸表には現れにくいこのような企業文化や社会貢献への姿勢は、長期的な視点で投資を考える上で見逃せない要素かもしれません。
建設機械業界全体としては、国内のインフラ老朽化対策や防災・減災対策、そして海外での経済成長に伴うインフラ整備需要が、今後も安定的な需要を支えると考えられます。例えば、アスファルトプラントやコンクリートプラントでインフラを支える日工(6307)のような企業も、その技術力で社会に貢献しています。加藤製作所も、その確かな技術力と「安全」への揺るぎないコミットメントで、これからの社会を支え続けていくことでしょう。


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