はじめに
注意事項:本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
モノとインターネットが繋がる「IoT(Internet of Things)」の時代。私たちの身の回りにある家電や自動車、工場の機械、さらには農業のセンサーにいたるまで、あらゆるデバイスが日々データをやり取りしています。このIoT社会の「神経網」とも言える通信インフラを、世界規模で提供しているのがソラコム(147A)です。
ソラコムは、2015年に創業され、わずか2年後の2017年にKDDIの連結子会社となりました。その後、大企業の強力なバックアップを受けながら事業を急拡大させ、2024年3月に東証グロース市場への上場を果たしました。いわゆる「スイングバイIPO(大企業の傘下で成長した後に新規上場する手法)」の成功事例として、日本のスタートアップ界でも大きな注目を集めた企業です。
まずは、直近の株式指標からソラコムの現在地を確認してみましょう。
最低投資金額 : 93,500円(935円/株)
PBR : 3.87倍
PER : 60.36倍
配当利回り : 0.00%
株主優待 : なし
(2026年5月20日(水)時点)
株価は2026年に入り、1月13日には年初来高値である1,285円を記録したものの、その後は調整局面を迎え、3月31日には年初来安値の890円まで下落しました。現在は900円台前半で推移しており、底堅さを模索する展開となっています。このソラコムという銘柄について、アナリストの視点からそのビジネスモデルの強みと今後の展望を深く掘り下げていきます。
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!
現在の株価は、年初来高値から見るとかなり調整が進んでいて、値ごろ感が出てきているぽん!でも、PERが60倍を超えているから、地合いが悪いとまだ下振れするリスクもあるぽん。だから、焦らずに年初来安値の890円付近、あるいは900円を少し割るくらいまで引きつけてから、中長期目線でコツコツと買い下がっていきたいぽん〜!世界中でIoTデバイスが増えれば増えるほど、ソラコムのチャリンチャリンビジネス(ストック収入)が拡大するから、将来がとっても楽しみな銘柄だぽん!
評価の理由
[評価の注目ポイント]
世界180以上の国と地域で繋がるグローバルIoTプラットフォーム。回線数の増加に伴い積み上がるストック型収益の強さと、KDDIグループの信用力を背景にした強固な財務が最大の魅力です。
A. 成長性 : ◎
ソラコムの最大の成長エンジンは、そのビジネスモデルの美しさにあります。同社は、IoTデバイス向けのSIMカードやeSIMを提供し、デバイスが携帯電話回線(セルラー回線)を使ってクラウドに安全に接続できる仕組みを提供しています。このビジネスは、一度導入されると、デバイスが稼働し続ける限り「月額基本料金」と「データ通信料」が毎月発生するリカーリングレベニュー(ストック型収益)となります。
過去数年の売上高は前年同期比で拡大を続けており、IoT接続回線数(サブスクリプション数)も右肩上がりで成長しています。デバイスが工場や自動販売機、シェアサイクルなどに組み込まれると、そう簡単に他社回線へ乗り換えられることはありません。つまり、顧客獲得コスト(CAC)を一度支払ってしまえば、その後は長期にわたって安定したキャッシュを生み出し続ける構造になっているのです。直近の決算でもEPS(1株当たり利益)は前年同期比で増加に転じており、フリーキャッシュフローも改善傾向にあります。
さらに、この成長性をグローバルな視点で捉え直してみましょう。CNNのニュース記事「Emerging tech and Africa — transforming healthcare, education and accessibility」では、アフリカなどの新興国において、AIやモバイル技術、デジタルヘルスケアなどの新興技術が医療や教育のあり方を劇的に変革している様子が報じられています。こうした新興国では、有線の光ファイバー網などのインフラ整備を飛び越えて、一気にモバイル回線とクラウド、AIを組み合わせたソリューションが普及する「リープフロッグ現象」が起きています。
ソラコムのグローバルSIMは、世界中の数百の通信キャリアと提携しており、1枚のSIMで国境を越えても自動的に最適な電波をキャッチして通信を行うことができます。アフリカの広大な農地でのスマート農業センサー、遠隔地での医療機器のデータ転送、都市部でのスマートメーターなど、新興国の社会課題を解決するテクノロジーの足元には、必ず「安価で、安全で、世界中どこでも繋がる通信」が必要です。ソラコムはまさに、こうした世界規模のデジタル変革を影で支える「グローバル・イネーブラー(実現者)」としての地位を確立しつつあり、中長期的な成長余地は極めて大きいと評価できます。
B. 割安性 : △
一方で、投資家として頭を悩ませるのが割安性の評価です。2026年5月20日時点でのPER(会社予想)は60.36倍、PBR(実績)は3.87倍となっています。配当利回りは0.00%(無配)であり、株主優待も提供されていません。
この数字だけを見ると、一般的な東証プライムの割安株や、安定配当を出す銘柄と比べて「非常に割高」に見えます。しかし、ソラコムのようなグロース企業を評価する際には、現在の利益(PER)だけでなく、売上の成長率や売上総利益率(グロスマージン)、そして「リカーリング比率」に注目する必要があります。ソラコムの売主に占めるストック比率は非常に高く、将来の利益予測の確実性が高いため、市場からは高いマルチプル(倍率)が許容されやすい傾向にあります。
同じように、独自の技術力で高い成長期待を集めるIT・DX関連企業と比較してみましょう。例えば、IoTデバイスの制御技術やAIソリューションを展開するJIG-SAW(3914)は、PBRが5.27倍と、ソラコム以上に高い評価(プレミアム)が乗っています。これは、市場が「IoT×ソフトウェア」の領域に対して、将来の爆発的な利益成長を織り込んでいる証拠と言えます。一方で、足元の業績や配当を重視する投資家にとっては、PER8倍台、配当利回り3%超を誇るシステム開発のソルクシーズ(4284)のような、よりディフェンシブで割安感の強い銘柄の方が魅力的に映るかもしれません。
ソラコムは、現在は利益を配当として株主に還元するフェーズではなく、稼いだキャッシュをさらなるグローバル展開やプラットフォームの機能拡張(AI連携機能など)へ再投資するフェーズにあります。そのため、配当や優待を重視するインカムゲイン狙いの投資家には不向きですが、将来のテンバガー(10倍株)候補として、キャピタルゲインを狙う投資家にとっては、現在の株価調整局面は魅力的なエントリーポイントになり得ます。ただし、マクロ経済の金利上昇局面などでは、高PERのグロース株は売られやすい性質があるため、一括で購入するのではなく、時間分散を図るのが賢明です。
C. 安全性 : 〇
一般的に、上場して間もないグロース企業やスタートアップは「赤字を掘りながら急成長を目指すため、財務が不安定」というイメージを持たれがちです。しかし、ソラコムの財務健全性は極めて良好です。
直近実績における自己資本比率は71.1%を誇っています。これは、一般的な製造業やIT企業の安全基準とされる30〜40%を大きく上回る、非常に強固な水準です。有利子負債についても、前年同期比で一時的な増減はあるものの、全体としてコントロールされた範囲内に収まっており、過度なレバレッジをかけた危険な経営は行っていません。
この高い安全性の背景には、KDDIグループ(親会社)との強固な関係があります。KDDIの連結子会社として、大企業の信用力を背景にした安価な資金調達が可能であると同時に、通信インフラの調達や共同での営業活動など、有形無形のシナジーを享受しています。また、ソラコム自身のビジネスがストック型であるため、毎月安定したキャッシュインフロー(営業キャッシュフロー)が見込めることも、財務の安定性に大きく寄与しています。EPSは前年同期比で増加に転じており、収益性(ROE 5.98%)もグロース企業として改善傾向にあります。財務的な破綻リスクは極めて低く、安心して長期的な成長ストーリーに投資できるだけの「盾」をしっかりと持っている企業です。
まとめ
ソラコム(147A)は、日本発の技術でありながら、最初からグローバル市場を見据えて設計された稀有なIoTプラットフォーム企業です。自動販売機から新興国の医療機器にいたるまで、世界中のあらゆるモノをインターネットに繋ぐ役割を担っており、そのビジネスモデルは一度契約すれば安定して稼ぎ続けるストック型となっています。
足元のバリュエーション(PER 60倍超)は一見すると割高ですが、70%を超える高い自己資本比率に裏打ちされた財務の安全性と、世界的なIoT需要の拡大という強力な追い風を考慮すれば、そのプレミアムには十分な理由があります。地合いの影響で株価が1,000円を割り込んでいる現在の局面は、長期投資家にとって、将来の成長を「安く仕込む」ための好機と言えるかもしれません。まずは少額から、同社のグローバルな挑戦を応援する気持ちでポートフォリオに加えてみてはいかがでしょうか。


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