はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
銘柄の基礎情報
今回ご紹介するのは、東証プライム市場に上場している堺化学工業(証券コード:4078)です。
堺化学工業は、日本を代表する総合化学メーカーの一つで、私たちの身の回りにある様々な製品に欠かせない基礎化学品から、時代のニーズに応える高機能材料まで幅広く手掛けています。特に、塗料やインキ、プラスチックなどに使われる白色顔料の酸化チタン、医薬品やゴム、電子材料などに利用される亜鉛製品、そして電子材料や医療用X線造影剤に使われるバリウム製品などが主力です。
これらの製品は、自動車、電機、住宅、医療といった多岐にわたる産業分野で活用されており、私たちの生活を陰で支える重要な役割を担っています。長年にわたる技術開発と品質へのこだわりが、同社の強みと言えるでしょう。
直近の主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 279,800円(2,798円/株)
- PBR : 0.57倍
- PER : 8.19倍
- 配当利回り : 4.65%
- 株主優待 : なし
(2025年10月2日(木)時点)
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!高配当利回りとPBR1倍割れで、今すぐ買いたいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント] 基礎化学品から高機能材料まで幅広く展開し、盤石な財務基盤と高配当、そしてPBR1倍割れの割安感が魅力的な企業です!
A. 成長性 : 〇
堺化学工業の成長性は、その多角的な事業ポートフォリオと、社会の変化に対応する技術開発力に支えられています。過去数年間を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に需要が落ち込んだ時期もありましたが、その後は回復基調にあり、特に電子材料や環境関連材料といった高機能分野での需要が堅調に推移しています。同社は、安定した基礎化学品の提供に加え、次世代のニーズを見据えた新素材開発にも注力しており、これが将来的な成長ドライバーとなるでしょう。
配当金についても、安定的な配当を継続しており、株主還元への意識の高さが伺えます。直近の配当利回り4.65%という水準は、投資家にとって非常に魅力的と言えるでしょう。
現在の化学産業において、環境負荷低減やサステナビリティへの取り組みは、企業の持続的な成長に不可欠な要素となっています。この点において、注目したいニュースがあります。大手塗料メーカーのPPGとSAIC General Motorsが、自動車塗装における洗浄溶剤のリサイクルプロジェクトを開始したというものです。
このプロジェクトは、年間430トン以上の廃棄溶剤をリサイクルし、最大80%の再利用を可能にする循環経済モデルを導入するという画期的な取り組みです。この技術は、中国のAssociation of International Chemical Manufacturers (AICM) から2025年のRESPONSIBLE CARE® Sustainability Initiative Awardを受賞しています。
(参照:PPG, SAIC General Motors launch cleaning solvent recycling project – Automotive World)
このような動きは、自動車産業をはじめとする主要顧客が、サプライチェーン全体で環境意識を高めていることを示しています。堺化学工業もまた、製造プロセスにおける環境配慮はもちろんのこと、環境対応型材料の開発やリサイクル技術の導入に積極的に取り組んでいます。例えば、同社の酸化チタンは、光触媒として環境浄化に貢献する技術にも応用されています。
環境規制の強化やSDGsへの意識の高まりは、化学メーカーにとって新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。堺化学工業が持つ幅広い技術とノウハウが、こうしたサステナブルな社会の実現に貢献し、新たな成長分野を切り開いていくことが期待されます。これは、以前ご紹介した田中化学研究所(4080)がEV向け電池材料で将来性を期待されているように、特定の分野での技術革新が企業の成長を大きく左右する例とも重なりますね。
B. 割安性 : ◎
堺化学工業の割安性は、現在の株価水準において非常に魅力的なポイントです。
- PBR(株価純資産倍率)が0.57倍という低水準であることは、企業の純資産価値に対して株価が割安に評価されていることを示しています。一般的にPBR1倍割れは、企業が持つ資産価値が株価に十分に反映されていない状態と見なされ、改善の余地があると考えられます。
- PER(株価収益率)も8.19倍と、市場平均と比較しても割安感があります。これは、会社の利益水準に対して株価が抑えられている状態であり、今後の業績の伸びや市場評価の見直しがあれば、株価上昇の期待も持てるでしょう。
- さらに、配当利回りが4.65%と非常に高い水準にあることも特筆すべき点です。これは、株主への還元意識が高いことの表れであり、インカムゲインを重視する投資家にとっては大きな魅力となります。
株主優待は現在のところありませんが、高水準の配当利回りがその代わりとして十分に機能していると言えるでしょう。
C. 安全性 : ◎
企業の安定性という観点では、堺化学工業は非常に高い評価ができます。
- 自己資本比率は63.5%と非常に高く、これは財務体質が盤石であることを示しています。自己資本比率が高い企業は、外部からの借り入れに依存する度合いが低く、景気変動や予期せぬ事態に対しても強い抵抗力を持っています。
- 多様な製品群と幅広い顧客層を持つことで、特定の産業や製品に業績が左右されにくい安定した事業基盤を築いています。基礎化学品は景気変動の影響を受けにくい安定的な需要があり、高機能材料は成長分野での需要を取り込むことで、バランスの取れた事業構造となっています。
このように、堺化学工業は堅実な財務と安定した事業運営により、投資家にとって安心感のある銘柄と言えるでしょう。


コメント