はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
トゥエンティーフォーセブンホールディングス(7074)の基礎情報
今回ご紹介するのは、パーソナルトレーニングジム「24/7Workout」を運営するトゥエンティーフォーセブンホールディングス(7074)です。
フィットネス業界は、健康意識の高まりや多様なライフスタイルの浸透により、近年大きな成長を遂げています。特にパーソナルトレーニングは、一人ひとりの目標や体質に合わせたオーダーメイドのプログラムを提供することで、高い需要を集めています。
「24/7Workout」は、完全個室でのトレーニング、専属トレーナーによる指導、そして無理のない食事アドバイスを組み合わせることで、顧客の目標達成をサポートするサービスを展開しています。結果にコミットするという姿勢で、多くの顧客から支持を得てきました。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 28,300円(283円/株)
- PBR : 14.64倍
- PER : —
- 配当利回り : 0.00%
- 株主優待 : なし
- (2025年9月30日(月)時点)
ぽんぽん的な評価
× ぽんぽんは、強く売りたいぽん!
現在の厳しい財務状況や赤字継続を考えると、積極的な投資は難しいぽん。事業改善の兆しが見えるまで、様子を見たいぽん。
評価の理由
[評価の注目ポイント] 現在の厳しい財務状況と赤字が続く中、事業再建への道筋が鍵となるぽん!
A. 成長性 : △
トゥエンティーフォーセブンホールディングスの成長性を見ると、過去数年で売上は変動しつつも、直近では赤字が継続している状況です。新型コロナウイルス感染症のパンデミックはフィットネス業界全体に大きな打撃を与え、同社もその影響を免れませんでした。
回復期に入ったとはいえ、依然として収益性の改善が課題となっています。パーソナルトレーニング市場自体は、健康志向の高まりを背景に拡大傾向にありますが、競合も激化しており、その中でいかに新規顧客を獲得し、既存顧客の定着率を向上させるかが重要です。
同社の強みである「完全個室」「専属トレーナー」「食事指導」といったサービスは、顧客にとって魅力的な要素ですが、これらの差別化要因をさらに強化し、ブランド価値を高めることが、今後の成長への鍵となるでしょう。
なお、配当金については、現在のところ無配が続いています。
B. 割安性 : ×
割安性の観点から見ると、現在のトゥエンティーフォーセブンホールディングスの株価は、かなり厳しい評価にならざるを得ません。
PBR(株価純資産倍率)は14.64倍と非常に高い水準にあります。これは、企業の純資産価値に対して株価が大幅に過大評価されているか、あるいは将来の大きな成長期待が織り込まれていることを示唆しますが、現状の赤字継続と低い自己資本比率を考慮すると、割安とは到底言えません。
また、PER(株価収益率)は、EPS(1株あたり利益)がマイナスであるため算出できません。これは、企業が現在利益を生み出せていない状態であることを明確に示しており、収益性に対する懸念が拭えません。
配当利回りは0.00%であり、株主優待も確認できないため、インカムゲインや優待を目的とした投資家にとっては魅力に乏しいと言えます。
C. 安全性 : △
安全性、特に財務健全性については、課題が見られます。自己資本比率は14.3%と低水準であり、これは企業の財務基盤が脆弱であることを示唆しています。不測の事態や事業環境の急激な変化に対して、耐性が低い可能性があります。
継続的な赤字は自己資本をさらに圧迫する要因となり、企業の安定性を損なうリスクを抱えています。早期の黒字化と自己資本の積み増しが、財務体質を改善するための喫緊の課題と言えるでしょう。
このように、現在のトゥエンティーフォーセブンホールディングスは、財務面で改善が必要な状態にあると評価できます。
事業再建とデジタル化への挑戦
トゥエンティーフォーセブンホールディングスが現在の厳しい状況を打破し、持続的な成長を実現するためには、抜本的な事業再建と、時代の流れに合わせた戦略が不可欠です。
フィットネス業界は、単に体を動かす場を提供するだけでなく、顧客体験の質や利便性が重視される時代へと変化しています。特に、テクノロジーを活用したデジタル化は、顧客エンゲージメントの向上、運営効率の改善、そして新たな収益源の創出に繋がり得る重要な要素です。
デジタル化プロジェクトの成功には、多くの企業が直面する共通の課題があります。例えば、保険業界のデジタル化プロジェクトに関する記事「Q&A: Acini on the dos and don’ts of digitalisation projects – Insurance Times」では、業界は異なるものの、デジタル化を単なるIT導入ではなく、ビジネスモデル変革と捉えることの重要性が語られています。トップダウンでのコミットメント、顧客中心のアプローチ、そして段階的な実行計画が、成功の鍵となると示唆されています。
トゥエンティーフォーセブンホールディングスが、これらの教訓をフィットネス事業に応用するならば、例えば以下のようなデジタル戦略が考えられるでしょう。
- 顧客体験の向上:予約システムの最適化、トレーニング進捗のデータ化と可視化、パーソナライズされた食事・運動メニューの提供(AI活用も視野に)。
- 運営効率の改善:トレーナーの業務負荷軽減のためのシステム導入、店舗運営コストの削減、データに基づいたマーケティング戦略の立案。
- 新たな収益源の創出:オンラインパーソナルトレーニングの強化、健康関連コンテンツのサブスクリプションモデル、ウェアラブルデバイスとの連携。
特に、現在の厳しい財務状況の中でデジタル投資を行うには、投資対効果を厳しく見極め、短期的な成果と長期的な成長を見据えた戦略的なアプローチが求められます。事業構造改革の難しさは、以前ご紹介したアツギ(3529)の事例でも見られますが、抜本的な改革と実行力が求められます。
赤字からの脱却、自己資本比率の改善、そして持続的な成長軌道に乗るためには、既存事業の効率化だけでなく、デジタル技術を最大限に活用した新たな価値創造が不可欠となるでしょう。今後の同社の経営戦略と、それがどのように事業成果に結びつくかに注目が集まります。


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