本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
はじめに
今日は、日本の基幹産業を支える鉄鋼メーカーの一つ、中部鋼鈑(5461)について深掘りしていきましょう。中部鋼鈑は、主に厚板と呼ばれる厚い鋼板を製造・販売している会社で、その製品は造船や建設機械、橋梁といった社会インフラの様々な場所で活躍しています。
鉄鋼業と聞くと、少し地味な印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実は私たちの生活や経済活動を根底から支える、非常に重要な役割を担っています。特に中部鋼鈑は、PBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく下回る0.77倍という水準でありながら、配当利回りが4.79%と非常に高い点が目を引きます。さらに、自己資本比率が89.0%と極めて高く、盤石な財務基盤を持っていることでも知られています。
今回は、そんな中部鋼鈑の魅力や、投資を考える上で注目したいポイントをじっくりと解説していきます。高配当と割安感、そして安定した財務という三拍子揃ったこの銘柄が、果たしてどのような可能性を秘めているのか、一緒に見ていきましょう。
銘柄の基礎情報
中部鋼鈑は、愛知県名古屋市に本社を置く鉄鋼メーカーです。主に厚板(あついた)と呼ばれる厚手の鋼板を製造・販売しており、その用途は多岐にわたります。具体的には、大型船の船体、建設機械のボディ、橋梁の部材、産業機械の構造材、エネルギー関連設備など、強度と耐久性が求められる分野でその技術力が活かされています。
同社は、鉄スクラップを電気炉で溶かして鋼を製造する「電炉(でんろ)」メーカーであることも特徴です。高炉メーカーが鉄鉱石を原料とするのに対し、電炉メーカーはリサイクル資源である鉄スクラップを主原料とすることで、環境負荷の低減に貢献しています。これは、SDGsへの意識が高まる現代において、大きな強みと言えるでしょう。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 210,900円(2,109円/株)
- PBR : 0.77倍
- PER : 17.31倍
- 配当利回り : 4.79%
- 株主優待 : なし
- (2025年10月17日(金)時点)
その他の指標も見てみましょう。
- 前日比: +9(+0.43%)
- 前日終値: 2,100円(2025年10月16日)
- 始値: 2,084円(09:00)
- 高値: 2,109円(09:12)
- 安値: 2,084円(09:00)
- 時価総額: 59,052百万円(09:12)
- 発行済株式数: 28,000,000株(2025年10月17日)
- 1株配当(会社予想): 101.00円(2026年3月期)
- EPS(会社予想): 121.85円(2026年3月期)
- BPS(実績): 2,744.04円
- ROE(実績): 2.28%
- 自己資本比率(実績): 89.0%
- 単元株数: 100株
- 年初来高値: 2,560円(2025年1月7日)
- 年初来安値: 1,690円(2025年4月7日)
ぽんぽん的な評価
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評価の理由
[評価の注目ポイント] 高い配当利回りとPBR1倍割れの割安感、そして非常に盤石な財務基盤が魅力的なぽん!
A. 成長性 : 〇
中部鋼鈑の製品である厚板は、造船、建設機械、橋梁といった社会インフラや産業活動に不可欠な素材です。これらの分野では、安定した需要が見込まれますが、劇的な需要拡大は限定的かもしれません。しかし、同社が電炉メーカーである点は、現代の環境意識の高まりの中で大きな強みとなり得ます。鉄スクラップを原料とする電炉は、鉄鉱石から鉄を作る高炉に比べて、CO2排出量が大幅に少ないため、脱炭素社会への貢献という点で優位性があります。
海外の電炉メーカーの動向も参考になります。例えば、米国の電炉大手であるCommercial Metals Co.(CMC)は、SECの10-K報告書で、新しいマイクロミルにおける先進的なEAF(電気炉)電源システムの利用や、環境負荷低減のための新技術への継続的な投資を表明しています。また、M&Aを通じてポートフォリオを拡大し、地域でのリーダーシップを強化する戦略も示しています(COMMERCIAL METALS Co SEC 10-K Report – TradingView)。
中部鋼鈑も同様に、環境対応や生産効率向上への投資を通じて、持続的な成長を目指していくことが考えられます。国内のインフラ老朽化対策や、海外でのインフラ整備需要なども、長期的な追い風となる可能性を秘めているでしょう。一方で、鉄鋼業界は景気変動の影響を受けやすく、原材料価格やエネルギーコストの変動も業績に影響を与えるため、その動向は注視が必要です。
B. 割安性 : ◎
中部鋼鈑のPBRは0.77倍と、純資産に対して株価が割安な水準にあります。これは、会社が保有する資産価値が株価に十分に評価されていない状況を示しており、株価の本格的な上昇余地がある可能性を秘めていると言えるでしょう。また、配当利回りは4.79%と非常に高く、安定したインカムゲインを期待できる銘柄として魅力的です。PBR1倍割れで高配当という点は、株主還元に積極的な姿勢の表れとも解釈できます。
PERは17.31倍と、他の高配当・PBR1倍割れの企業(例:〇(9878)東邦レマック、〇(6363)酉島製作所)と比較しても、極端に割高というわけではありません。特に、これだけの高配当と盤石な財務を考えると、十分魅力的な水準だと感じられます。日本企業全体でPBR1倍割れ解消への意識が高まる中、中部鋼鈑も今後、さらなる株主還元策や資本効率改善策を打ち出す可能性も期待できるかもしれません。
C. 安全性 : ◎
中部鋼鈑の最大の魅力の一つが、その極めて高い財務健全性です。自己資本比率は89.0%と非常に高く、これは一般的な製造業と比較しても突出した水準です。自己資本比率が高いということは、借入金などの負債が少なく、会社の資金繰りが安定していることを意味します。外部環境の変化や景気後退期においても、財務的な耐性が非常に強いと言えるでしょう。
ただし、ROE(自己資本利益率)が2.28%と低い点は、改善の余地があるかもしれません。高い自己資本比率は、裏を返せば、資本を効率的に活用しきれていない可能性も示唆しています。しかし、この盤石な財務基盤があるからこそ、長期的な視点での事業投資や、安定した株主還元を継続できるという側面もあります。例えば、〇(6390)加藤製作所のようなインフラ関連企業もPBR1倍割れで高配当、盤石な財務を持つ企業として注目されますが、中部鋼鈑の自己資本比率はさらに高い水準にあります。
鉄鋼業は設備投資が大きく、景気変動の影響を受けやすい業種ですが、中部鋼鈑のこの強固な財務体質は、投資家にとって大きな安心材料となるでしょう。


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