本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
はじめに
今回ご紹介するのは、東証グロース市場に上場しているトヨクモ(4058)です。トヨクモは、サイボウズ社のグループ会社として設立され、主にクラウドサービスを提供している企業です。特に、サイボウズが提供する業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」と連携するサービス群が主力で、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を強力にサポートしています。
同社のサービスは、安否確認サービス、サイボウズOffice連携サービス、そしてkintoneと連携する様々なプラグインや連携サービスなど多岐にわたります。これらは、企業の業務効率化や情報共有の円滑化、災害時のBCP(事業継続計画)対策などに貢献しており、現代のビジネス環境において非常に重要な役割を担っています。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 302,000円(3,020円/株)
- PBR : 9.40倍
- PER : 29.92倍
- 配当利回り : 0.66%
- 株主優待 : なし
- (2025年10月10日(金)時点)
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!少し下がってきたら嬉しいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント] kintone連携サービスを軸としたSaaSビジネスモデルが魅力的で、企業のDX需要を背景に高い成長が期待できるぽん!
A. 成長性 : ◎
トヨクモの最大の魅力は、その高い成長性にあります。同社は、継続的な収益が見込めるSaaS(Software as a Service)モデルを主軸としており、一度導入されれば安定した売上が積み上がっていく構造です。特に、サイボウズの「kintone」という強力なプラットフォームのエコシステムに深く根ざしている点が強みと言えるでしょう。kintoneは、プログラミング知識がなくても業務アプリを簡単に作成できることから、多くの中小企業から大企業まで幅広い層に導入が進んでおり、その普及とともにトヨクモの連携サービスも需要を拡大しています。
近年、多くの企業が業務効率化や生産性向上を目指してDXを推進しており、クラウドサービスの導入はもはや不可欠となっています。トヨクモのサービスは、まさにこのDXの波に乗り、企業のデジタル化を支援することで成長を加速させています。例えば、主力の一つである「安否確認サービス」は、災害大国である日本において企業のBCP対策として高いニーズがあり、安定的な契約獲得に繋がっています。
このような企業のDX推進の動きは、海外でも活発です。例えば、オーストラリアの映画館チェーンHoytsがモバイルファーストなデジタルジャーニーを進めているというニュースがありました。Hoytsは、ウェブサイトとモバイルアプリを再開発し、Azureスタックとマイクロサービスベースのアーキテクチャを採用しているとのことです。これは、企業が顧客体験を向上させ、業務を効率化するために、クラウド技術と柔軟なシステム構築がいかに重要であるかを示しています。
参照:Hoyts highlights its mobile-first journey – iTnews
トヨクモのようなSaaSベンダーは、まさにこのような企業のデジタル変革を支える存在です。Hoytsの事例のように、企業がデジタル化を進める中で、特定の業務に特化したクラウドサービスや、既存のプラットフォームと連携するソリューションの需要は今後も高まっていくと予想されます。トヨクモは、kintoneという強力な基盤を最大限に活用し、さらに独自の付加価値を提供することで、この成長市場で優位性を確立していると言えるでしょう。
他のDX支援企業やクラウドサービス企業も同様の成長期待を背負っています。例えば、クラウド会計のパイオニアであるfreee(4386)や、既存産業のDXを推進するラクスル(4384)なども、それぞれの分野でデジタル化の波を捉え成長を続けています。
B. 割安性 : △
トヨクモの株価指標を見ると、PERが29.92倍、PBRが9.40倍と、市場全体や同業他社と比較しても高水準にあることが分かります。これは、市場がトヨクモの今後の高い成長性を織り込んでいると解釈できます。SaaS企業は、初期投資がかさむものの、一度顧客を獲得すれば継続的な収益が期待できるため、成長フェーズにある企業は高PER・PBRで評価される傾向があります。
しかし、投資家としては、その成長期待に見合うだけのパフォーマンスを出し続けられるか、そして現在の株価がその期待値を十分に反映しているかを慎重に見極める必要があります。配当利回りも0.66%と低く、株主優待も現在のところ設定されていないため、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力が薄いかもしれません。高成長企業への投資は、将来の成長を見込んでリスクを取る側面があるため、割安感という点では「△」と評価せざるを得ません。
C. 安全性 : ◎
財務健全性に関しては、非常に高い評価ができます。自己資本比率は65.3%と非常に高く、これは企業の財務基盤が盤石であることを示しています。自己資本比率が高いということは、借入金などの負債に依存する割合が低く、経営の安定性が高いことを意味します。SaaSビジネスは、サブスクリプションモデルであるため、一度顧客を獲得すれば安定した収益が継続的に入ってくる特徴があります。これにより、キャッシュフローが安定しやすく、強固な財務体質を築きやすいという側面もあります。
このような財務の安定性は、経済の変動や予期せぬ事態が発生した場合でも、企業が事業を継続し、成長戦略を着実に実行していく上で非常に重要な要素となります。トヨクモは、成長投資を続けながらも、健全な財務体質を維持しており、長期的な視点で見ても安心して投資を検討できる企業の一つと言えるでしょう。


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