はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
KOA(6999)の基礎情報
今回ご紹介するのは、長野県に本社を置く電子部品メーカー、KOA(6999)です。KOAは、特に抵抗器の分野で世界的に高いシェアを誇る企業で、皆さんの身の回りにある様々な電子機器にその技術が活かされています。
主力製品である抵抗器のほかにも、インダクタ、サーミスタ、ヒューズといった受動部品や、センサー、複合部品などを幅広く手掛けています。自動車、産業機器、情報通信機器、家電製品など、多岐にわたる分野に製品を供給しており、現代社会の電子化・デジタル化を支える縁の下の力持ちのような存在と言えるでしょう。
高信頼性・高精度が求められる電子部品は、自動車の電装化やEV(電気自動車)へのシフト、IoT(モノのインターネット)の普及、そして産業機器のDX(デジタルトランスフォーメーション)といった、これからの社会を形作る大きなトレンドの中で、ますますその重要性を増しています。KOAは、そうした時代のニーズに応える技術力と製品ラインナップを持っている企業なんです。
それでは、直近の営業日における主要な指標を見てみましょう。(2025年10月17日(金)時点)
- 最低投資金額 : 118,800円(1,188円/株)
- PBR : 0.57倍
- PER : 39.73倍
- 配当利回り : 2.53%
- 株主優待 : なし
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!もう少し収益改善の兆しが見えたら買いたいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント] PBRの割安感と安定した財務基盤は魅力だけど、収益性改善と成長戦略の具体化に注目したいぽん!
A. 成長性 : △
KOAの成長性を見る上で、まず目を引くのがROE(自己資本利益率)の低さです。現在のROEは0.33%と非常に低い水準にあり、これは株主の皆さんからお預かりした資本を効率的に活用して利益を生み出す力が、現状では十分とは言えないことを示しています。
電子部品業界は景気変動の影響を受けやすい側面がありますが、KOAが手掛ける抵抗器は、あらゆる電子機器に不可欠な基幹部品であり、需要が完全に途絶えることは考えにくいでしょう。自動車の電装化やEVシフト、産業機器のDX化、IoTの普及といった大きなトレンドは、KOAの製品にとって追い風となるはずです。しかし、これらの成長ドライバーが、まだ足元の収益に十分に結びついていない状況が見受けられます。
会社としては、高付加価値製品へのシフトや生産性向上に取り組んでいると推測されますが、その成果が明確に現れるまでにはもう少し時間がかかるかもしれません。今後の決算発表などで、具体的な収益改善策や成長戦略の進捗に注目していく必要がありそうです。
B. 割安性 : 〇
割安性という点では、PBR(株価純資産倍率)が0.57倍と、市場平均と比較してもかなり割安な水準にあることが大きな魅力です。これは、会社の持つ資産価値に対して、株価が低く評価されていることを示唆しています。PBR1倍割れ企業への注目が高まる中で、この水準は投資家にとって見過ごせないポイントと言えるでしょう。
一方で、PER(株価収益率)は39.73倍と、現在の利益水準から見るとやや高めです。これは、市場が将来的な利益の回復や成長を期待している表れとも考えられますが、前述のROEの低さを考慮すると、現在の利益水準では割安とは言い切れない側面もあります。
配当利回りは2.53%と、現在の低金利環境の中ではまずまず魅力的な水準です。PBRの割安感と安定した配当は、長期的な視点での投資を考える上でポジティブな要素と言えるでしょう。
C. 安全性 : ◎
KOAの財務健全性は非常に高く、自己資本比率は55.3%と盤石な基盤を築いています。これは、借入金が少なく、自社の資金で事業を運営できていることを意味し、景気変動や予期せぬ事態にも耐えうる強固な財務体質を持っていると言えるでしょう。投資家としては、安心して投資を検討できるポイントの一つです。
また、信用取引の状況を見ると、信用買残が信用売残を上回る信用倍率8.24倍ですが、極端な偏りがあるわけではなく、需給面での大きな懸念は今のところ見当たりません。
KOAの未来を読み解く:EV化と充電インフラの進化
KOAのような電子部品メーカーにとって、現代の技術トレンドは常に事業の方向性を左右する重要な要素です。特に、自動車産業におけるEV(電気自動車)へのシフトは、KOAの事業に大きな影響を与える可能性があります。
ここで、興味深いニュースを一つご紹介しましょう。米国のEV充電技術企業であるXCharge North Americaが、その革新的な充電技術「GridLink」で「2025 AutoTech Breakthrough Awards Program」の「Battery Charging Technology Solution of the Year」を受賞したというものです。(参照元: CleanTechnica)
このニュースは、EV市場の成長を支える充電インフラ技術が進化していることを示しています。EVの普及には、車両そのものの性能向上だけでなく、いかに手軽に、効率的に充電できるかがカギとなります。XChargeのような企業の技術革新は、EVの利便性を高め、市場全体の拡大を後押しするでしょう。
KOAは、自動車向けに高信頼性・高精度な抵抗器をはじめとする電子部品を供給しています。EVのバッテリーマネジメントシステムやモーター制御、そして充電器の内部回路など、多くの部分でKOAの製品が使われる可能性があります。EV充電技術の進化は、直接的には充電器メーカーに恩恵をもたらしますが、その充電器やEV本体を構成する電子部品の需要拡大にも繋がるため、KOAにとっては長期的な事業環境の追い風になると考えられます。
KOAが今後、このEV化の波にどのように対応し、高付加価値製品の開発や新たな市場開拓を進めていくのかが、今後の成長を占う上で重要なポイントとなるでしょう。例えば、自動車向け部品に強みを持つ企業としては、YUSHIN(6021)やユニプレス(7313)などもCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)への対応を進めています。KOAも同様に、技術革新の恩恵を最大限に享受できるかどうかが注目されます。
まとめ
KOAは、PBRの割安感と強固な財務基盤という魅力を持つ一方で、現在の収益性(ROEの低さ)が課題として挙げられる電子部品メーカーです。抵抗器というニッチながらも重要な分野で世界的なシェアを持ち、自動車のEV化や産業のDX化といった大きなトレンドの中で、その技術力を活かすチャンスは十分にあります。
今後は、これらの成長機会をいかに具体的な収益拡大に結びつけ、ROEを改善していけるかが、投資家にとっての大きな注目点となるでしょう。長期的な視点で、同社の事業戦略や業績の推移をじっくりと見守っていきたい銘柄だと感じています。


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