はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
銘柄の基礎情報
今回ご紹介するのは、医薬品の製造販売を手がける中京医薬品(東証スタンダード:4518)です。同社は、一般用医薬品(OTC医薬品)や配置薬事業を主軸に、健康食品、化粧品、医療機器などの幅広い製品を提供しています。特に、全国に配置薬のネットワークを持ち、お客様の家庭や職場に直接訪問して薬を届ける「置き薬」のビジネスモデルは、地域に根ざした独自の強みとなっています。近年では、インターネットを通じた通信販売にも力を入れ、販路の拡大を図っています。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 20,800円(208円/株)
- PBR : 0.86倍
- PER : 29.55倍
- 配当利回り : 2.40%
- 株主優待 : なし
- (2025年11月4日(月)時点)
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!少し様子を見て、もう少し下がるのを待ちたいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント] 売上成長とPBR割安感が魅力だけど、財務の安定性には少し注意が必要な銘柄だぽん!
A. 成長性 : ◎
中京医薬品の成長性は非常に魅力的なポイントです。過去数年の売上高は前年同期比で増加傾向にあり、右肩上がりの推移を見せています。これは、伝統的な配置薬事業の安定性に加え、近年注力している健康食品や化粧品、さらには通信販売の強化が奏功している結果と言えるでしょう。特に、高齢化社会の進展や健康意識の高まりは、同社の製品に対する需要を後押ししています。EPS(1株当たり利益)も前年同期比で改善が続いており、企業としての稼ぐ力が高まっていることが伺えます。ただし、四半期ごとの変動は残るため、今後の動向は引き続き注視が必要です。
B. 割安性 : 〇
割安性を見ると、PBR(株価純資産倍率)が0.86倍と、1倍を下回っており、企業の純資産に対して株価が割安であると評価できます。これは、企業の解散価値よりも低い水準で取引されていることを示唆しており、将来的な株価上昇の余地があると感じる方もいるかもしれません。配当利回りも2.40%と、現在の低金利環境下では魅力的な水準にあります。ただし、PER(株価収益率)は29.55倍と、同業他社と比較するとやや高めの水準に見えるかもしれません。これは、将来の成長期待が株価に織り込まれている可能性も考えられます。割安性については、こちらの記事も参考にしてみてください。PBR割安・高配当、株主優待も魅力のシード
C. 安全性 : △
財務の安全性に関しては、やや注意が必要な点も見受けられます。自己資本比率は49.9%と、一般的に望ましいとされる30%を大きく上回っており、財務基盤は比較的安定していると言えます。しかし、この比率はわずかに下向きの傾向が見られ、有利子負債も増加傾向にある点が気になります。企業の成長投資や事業拡大に伴うものかもしれませんが、今後の財務状況の推移は慎重に見守る必要があるでしょう。EPSは改善傾向にあるものの、四半期ごとの振れがあるため、収益の安定性も高めていくことが求められます。財務の健全性については、AIレコメンド市場成長期待と高自己資本比率のシルバーエッグ・テクノロジーの事例も参考になるかもしれません。
医薬品業界の動向と中京医薬品の戦略
医薬品業界は、新薬開発競争が激化する一方で、ジェネリック医薬品の普及や医療費抑制の動きなど、多様な変化に直面しています。中京医薬品は、配置薬という独自の販売チャネルを強みに、地域密着型のビジネスを展開してきました。このような地域に特化した戦略は、グローバルな製薬企業とは異なるアプローチで市場に価値を提供しています。
ここで、海外の医薬品企業であるPOA Pharmaの事例を見てみましょう。医薬品業界情報サイト「pharmaphorum」の記事「Company Profile – POA Pharma」(https://pharmaphorum.com/sales-marketing/company-profile-poa-pharma)によると、POA Pharmaはデンマークに本社を置き、医療栄養、救急医療、耳鼻咽喉科、女性ケアといった特定の専門分野に焦点を当て、北欧を中心に地域に特化した成長戦略を展開しています。規制の複雑さや価格圧力といった業界の課題に直面しながらも、「スマートで地域に合わせた成長が規模を上回る」ことを示していると報じられています。
POA Pharmaの事例は、中京医薬品にとっても示唆に富んでいます。中京医薬品もまた、配置薬という独自のチャネルを通じて、地域住民の健康を支えるという特定のニーズに応えています。グローバルな新薬開発競争とは一線を画し、地域に根差したサービスと、一般用医薬品や健康食品といった身近な製品に特化することで、安定した収益基盤を築いています。POA Pharmaが示す「深い地域専門知識、焦点を絞ったポートフォリオ、実績ある実績」という成長の5つの柱は、中京医薬品の今後の事業戦略を考える上でも参考になるのではないでしょうか。例えば、中京医薬品が持つ配置薬のネットワークを通じて、さらに特定の健康課題に特化した製品やサービスを提供することで、競争力を高める余地があるかもしれません。
また、同社は通信販売にも力を入れており、デジタル化の波にも対応しようとしています。これは、従来の配置薬事業の顧客層に加えて、より幅広い層へのアプローチを可能にし、新たな成長ドライバーとなる可能性を秘めています。収益性改善の動向は、超割安PER・PBRと収益改善の児玉化学工業の事例からも学べることがあるかもしれません。
まとめ
中京医薬品は、堅実な売上成長とPBRの割安感が魅力的な銘柄です。特に、地域密着型の配置薬事業と、健康食品・化粧品への多角化、そして通信販売の強化が、今後の成長を牽引する可能性があります。一方で、財務の安定性には若干の注意が必要であり、自己資本比率の推移や有利子負債の動向は引き続き注視していくべきでしょう。医薬品業界の動向を鑑みながら、同社がどのように独自の強みを活かし、変化に対応していくのかが、今後の投資判断の鍵となりそうです。


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