はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
ブロードバンドセキュリティ(4398)の基礎情報
今回ご紹介するのは、情報・通信業の中でも特にサイバーセキュリティ分野に特化したサービスを提供している「ブロードバンドセキュリティ(4398)」です。
同社は、企業や組織が抱えるサイバー攻撃のリスクに対し、脆弱性診断、セキュリティ監視(SOC/MSS)、クラウドセキュリティ、コンサルティングなど、多岐にわたるソリューションを提供しています。デジタル化が進む現代において、サイバーセキュリティは企業経営の生命線とも言える重要なテーマですよね。
直近の主要な指標を見てみましょう。
- 最低投資金額 : 139,600円(1,396円/株)
- PBR : 2.90倍
- PER : 13.29倍
- 配当利回り : 1.15%
- 株主優待 : なし
(2025年11月10日(月)時点)
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!
サイバーセキュリティの需要は高まる一方だけど、直近の収益性と成長性の不安定さが気になるぽん。もう少し事業の安定化を見守りつつ、1,200円くらいまで下がるのを待ちたいぽん〜!
評価の理由
[評価の注目ポイント]
サイバーセキュリティ需要は堅調も、収益性と成長性の不安定さが課題。財務は比較的安定しているぽん。
A. 成長性 : ×
過去数年の売上や利益を見ると、サイバーセキュリティ市場の拡大という追い風があるにも関わらず、収益性評価で「悪化しています」とあるように、営業利益率、純利益率ともに前年同期比で低下傾向にあります。特にEPS(1株あたり利益)が大きく低下しており、成長性を示す指標は厳しい状況です。提供データにある「成長性0.0倍」は、現状の成長が停滞していることを示唆していると考えられます。
B. 割安性 : 〇
PER(株価収益率)は13.29倍と、情報・通信業の平均と比較するとやや割安感があるかもしれません。しかし、PBR(株価純資産倍率)は2.90倍と、会社の純資産に対して株価が約3倍の水準にあり、決して割安とは言えない水準です。配当利回りは1.15%で、特に高配当というわけではありません。成長性の課題を考慮すると、現在の株価が妥当かどうかは慎重な判断が必要となりそうです。
C. 安全性 : 〇
財務の安全性については、比較的安定していると言えるでしょう。自己資本比率は55.5%と高く、一般的に望ましいとされる30%を大きく上回っています。また、有利子負債も減少傾向にあり、財務基盤はしっかりしている印象です。急な資金繰りの悪化リスクは低いと考えられます。ただし、EPSの変動が大きい点は、収益の安定性という点で引き続き注視が必要ですね。
サイバーセキュリティの「空白」とブロードバンドセキュリティの役割
ブロードバンドセキュリティの事業内容を深く掘り下げる上で、サイバーセキュリティを取り巻く国際的な状況にも目を向けてみましょう。最近のニュースで特に注目すべきは、米国におけるサイバーセキュリティ情報共有の枠組みに関する議論です。
CyberScoopが2025年11月10日に報じた記事「CISA’s expiration leaves a dangerous void in US cyber collaboration」では、米国のサイバーセキュリティ情報共有法(CISA)の失効が、米国におけるサイバー協力に「危険な空白」を生じさせていると指摘しています。CISAは2015年に制定され、企業が法的責任を恐れることなく脅威指標を政府と共有できるようにする一方で、個人情報の保護も保証していました。この法律が失効したことで、企業は情報共有に二の足を踏むようになり、結果として政府は民間ネットワークで発生する脅威に対する視認性を失い、企業は政府が精査した脅威指標やセクター横断的な分析の恩恵を受けられなくなっているとのことです。
記事は、特に中国やロシア関連のグループによる米国の重要インフラへの持続的な侵入が増加する中で、このような情報共有の断片化が「分断された対応状況」を生み出していると警鐘を鳴らしています。つまり、サイバー攻撃が高度化・巧妙化する一方、それに対抗するための国家レベルでの協力体制が揺らぎ、個々の企業がより一層、自社のセキュリティ対策を強化する必要性が高まっていることを示唆しているのです。
このような状況は、日本を含むグローバルなサイバーセキュリティ市場全体にも影響を与える可能性があります。企業が自力でサイバー脅威から身を守る重要性が増す中で、ブロードバンドセキュリティのような専門企業が提供する脆弱性診断、セキュリティ監視(SOC/MSS)、インシデント対応、クラウドセキュリティといったサービスへの需要は、ますます高まることが予想されます。
特に、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、企業のデジタル化を加速させ、新たなビジネスチャンスを生み出す一方で、同時にサイバー攻撃のリスクも増大させます。例えば、ローコード開発とAIでDX支援を行うラキールのような企業がDXを推進する中で、ブロードバンドセキュリティの提供するセキュリティサービスは、そのデジタル基盤を安全に保つ上で不可欠な存在となるでしょう。
ブロードバンドセキュリティは、このような高まる市場ニーズをしっかりと捉え、収益性と成長性の不安定さを改善し、事業の安定化を図ることができれば、その存在感をさらに高めることができるかもしれませんね。


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