はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
NEXYZ.Group(ネクシーズグループ)の基礎情報
今回ご紹介するのは、東証プライム市場に上場するNEXYZ.Group(ネクシーズグループ、証券コード:4346)です。同社は、IoTを活用したプラットフォーム事業を主軸に、ITサービス事業、エネルギー事業、メディア事業と多角的に事業を展開しています。
特に注目すべきは、飲食店や美容室、ホテルなどの法人向けに、初期費用ゼロでLED照明や空調、業務用調理機器、IoT設備などを導入できる「ネクシーズZERO」というユニークなサービスです。これにより、顧客は設備投資の負担なく、最新の機器や省エネ設備を導入でき、NEXYZ.Groupは月額料金による安定した収益を得るストック型ビジネスを構築しています。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 102,600円(1,026円/株)
- PBR : 4.00倍
- PER : 15.70倍
- 配当利回り : 2.92%
- 株主優待 : なし
- (2025年11月12日(水)時点)
ぽんぽん的な評価
〇 ぽんぽんは、買いたいぽん!収益性の改善と高ROEは魅力的だが、自己資本比率の改善をもう少し待ちたいぽん。
評価の理由
[評価の注目ポイント]:高ROEで収益性◎、IoTプラットフォーム事業の成長期待も、財務の安定性に注目したいぽん!
- A. 成長性 : ◎
- B. 割安性 : △
- C. 安全性 : △
IoTプラットフォーム事業「ネクシーズZERO」が牽引するストック型ビジネスモデルは、DX(デジタルトランスフォーメーション)や省エネ需要の高まりを背景に、安定的な成長が期待できます。過去数年で純利益率がマイナスからプラスへ改善し、営業利益率も持ち直していることから、収益面での回復基調が明確です。
PER(株価収益率)は15.70倍と、成長企業としては比較的魅力的な水準にありますが、PBR(株価純資産倍率)は4.00倍と、純資産に対して株価が割高感を示しています。配当利回り2.92%はまずまずですが、株主優待がない点は考慮が必要です。
自己資本比率は13.9%と、一般的に望ましいとされる30%を下回っており、財務の安定性にはやや注意が必要です。有利子負債も直近でやや増加傾向にあります。しかし、ROE(自己資本利益率)が28.90%と非常に高い水準にあることは、効率的な資本活用ができている証拠でもあります。これはレバレッジを効かせた経営戦略の表れとも言えるでしょう。
NEXYZ.Groupのユニークなビジネスモデル「ネクシーズZERO」
NEXYZ.Groupの最大の強みは、やはり「ネクシーズZERO」という画期的なサービスにあります。これは、中小企業が抱える「初期投資の壁」を取り払い、最新の設備やテクノロジーを導入できる仕組みを提供しています。例えば、飲食店が最新の業務用厨房機器を導入したい、美容室が省エネ効果の高いLED照明に切り替えたい、ホテルが効率的な空調システムを導入したいといったニーズに対し、NEXYZ.Groupが設備を調達し、顧客は初期費用なしで月額利用料を支払う形です。
このビジネスモデルは、顧客にとってキャッシュフローの改善やランニングコストの削減、さらには最新技術の導入による競争力強化といったメリットをもたらします。一方、NEXYZ.Groupにとっては、一度契約すれば長期にわたって安定した収益が得られるストック型ビジネスとしての盤石な収益基盤を築くことができます。これは、景気変動の影響を受けにくい安定した事業運営に繋がると考えられます。
ITサービスとエネルギー事業のシナジー
NEXYZ.Groupは「ネクシーズZERO」を核としつつ、ITサービス事業とエネルギー事業も展開しており、これらが互いにシナジーを生み出しています。
- ITサービス事業では、企業のDX推進支援、Webサイト制作、システム開発などを手掛け、顧客のデジタル化を多角的にサポートしています。これは「ネクシーズZERO」でIoT機器を導入した顧客に対し、さらに踏み込んだITソリューションを提供することで、顧客との関係性を深め、LTV(顧客生涯価値)を高めることに貢献します。
- エネルギー事業では、新電力サービス「ネクシーズ電力」や再生可能エネルギー発電事業を展開しています。省エネ設備を「ネクシーズZERO」で導入した顧客に対し、電力供給まで一貫して提供することで、より包括的なソリューションを提供できる強みを持っています。IoTとエネルギーマネジメントの融合は、今後のスマートシティ化や脱炭素社会の実現に向けて、大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。
このように、各事業が単独で存在するのではなく、相互に連携し合うことで、NEXYZ.Groupは顧客に対してより付加価値の高いサービスを提供し、企業としての競争力を高めているのです。
高ROEと財務健全性のバランス
NEXYZ.Groupの財務指標を見ると、ROE(自己資本利益率)が28.90%と非常に高い水準にある点が目を引きます。これは、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力が優れていることを示しています。しかし、その一方で自己資本比率は13.9%と低く、有利子負債がやや増加傾向にあるため、財務の安全性には注意が必要です。
この高ROEと低自己資本比率の組み合わせは、レバレッジ経営を行っている可能性を示唆しています。つまり、借入金などの他人資本を積極的に活用することで、自己資本に対する利益率を高めているということです。成長期にある企業や、設備投資が先行するビジネスモデルにおいては、このような財務戦略が取られることがあります。
「ネクシーズZERO」のビジネスモデルは、NEXYZ.Groupが設備を調達し、顧客に提供するため、初期の設備投資負担は同社が負う形になります。これが有利子負債の増加や自己資本比率の低下に影響していると考えられます。しかし、その後の月額利用料という安定的なストック収益が積み上がることで、投資回収が進み、将来的には財務状況も改善していくことが期待されます。投資家としては、高すぎるROEの裏にある財務リスクを認識しつつ、今後の自己資本比率の改善や有利子負債のコントロールに注目していく必要があるでしょう。
市場のトレンドとNEXYZ.Groupの立ち位置
現在、企業を取り巻く環境は、DXの加速、IoTの普及、省エネ・脱炭素への意識の高まりなど、大きな変革期を迎えています。NEXYZ.Groupの事業は、まさにこれらの市場トレンドのど真ん中に位置しています。
- DX・IoT需要:中小企業におけるデジタル化の遅れは、生産性向上の大きな障壁となっています。「ネクシーズZERO」は、初期費用ゼロという導入障壁の低さから、中小企業のIoT導入を強力に後押しするソリューションです。
- 省エネ・脱炭素:電気料金の高騰や環境規制の強化により、企業は省エネ対策や再生可能エネルギーの導入を強く求められています。NEXYZ.Groupのエネルギー事業や省エネ設備導入支援は、これらのニーズに直接応えるものです。
このように、NEXYZ.Groupは社会的な課題解決に貢献する事業を展開しており、今後も持続的な成長が期待される分野で強固な立ち位置を築いていると言えるでしょう。
サイバーセキュリティの重要性:NEXYZ.GroupのIT/IoT事業との関連性
NEXYZ.Groupが展開するITサービスやIoTプラットフォーム事業において、現代のビジネス環境でいかにセキュリティが重要かを示す一例として、海外のニュースに目を向けてみましょう。「Automating zero trust: How ViewQwest and Zero Networks are changing the game with automated microsegmentation」と題された記事(Asian Business Review)は、ゼロトラストセキュリティモデルと自動マイクロセグメンテーションが、企業ネットワークの安全性をいかに高めるかについて論じています。
このニュースはNEXYZ.Groupに関する直接的なものではありませんが、同社が手掛けるBtoB向けのIoTプラットフォームやITサービス提供において、サイバーセキュリティは極めて重要な要素となります。顧客企業がNEXYZ.Groupのサービスを通じてIoT機器やシステムを導入する際、そのセキュリティが脆弱であれば、情報漏洩やシステム停止といった重大なリスクに直面する可能性があります。そのため、NEXYZ.Groupが提供するサービスには、強固なセキュリティ対策が不可欠です。
ゼロトラストモデルは、「何も信頼しない」を前提に、全てのアクセスを検証する考え方であり、IoTデバイスが多数接続される環境では特に有効です。また、マイクロセグメンテーションは、ネットワークを細かく分割し、各セグメント間の通信を厳しく制御することで、攻撃がシステム全体に広がるのを防ぎます。NEXYZ.GroupのようなITサービスプロバイダーは、こうした最先端のセキュリティ技術を取り入れ、顧客に安心してサービスを利用してもらえる環境を構築していくことが、今後の事業成長において非常に重要となるでしょう。過去記事でも、サイバーセキュリティの重要性については度々触れており、例えばブロードバンドセキュリティやサイボウズのような企業が提供するサービスも、セキュリティが中核をなしています。
まとめ
NEXYZ.Groupは、初期費用ゼロでIoT機器や省エネ設備を導入できる「ネクシーズZERO」を核としたストック型ビジネスモデルで、DXや脱炭素といった社会の大きな流れを捉え、着実に成長を続けています。高いROEは資本効率の良さを示していますが、低い自己資本比率という財務面での課題も抱えています。しかし、収益性の改善傾向や、ITサービス・エネルギー事業とのシナジー効果を考慮すると、今後の成長性には期待が持てます。
投資を検討する際は、同社の事業成長戦略が財務体質の改善にどう繋がっていくのか、そしてサイバーセキュリティ対策を含めたITインフラの強化がどのように進められるのかを注視していくことが大切でしょう。


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