はじめに
本ブログの記事は、特定の投資商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
エスクリの基礎情報
今回ご紹介するのは、東証スタンダード市場に上場しているエスクリです。同社は、主にハウスウェディング事業を展開しており、ゲストハウス型の結婚式場を全国に展開しています。人生の晴れ舞台である結婚式を、新郎新婦のこだわりや夢を叶える形でプロデュースすることに強みを持っています。結婚式場の運営だけでなく、婚礼衣裳の提供やレストラン運営なども手掛けており、多角的に「感動」を提供する事業モデルです。
直近の営業日における主要な指標は以下の通りです。
- 最低投資金額 : 20,200円(2025年10月24日時点)
- PBR : (連)0.46倍
- PER : (連)22.75倍
- 配当利回り : 0.00%
- 1株配当 : 0.00円(2026年3月期予想)
- 株主優待 : なし
- 時価総額 : 2,785百万円(2025年10月24日時点)
ぽんぽん的な評価
△ ぽんぽんは、あまり魅力は感じないぽん。。
評価の理由
[評価の注目ポイント]: PBRは割安感があるものの、無配であり、財務の健全性に課題が見られるぽん。今後の回復と財務改善に注目したいぽん。
A. 成長性 : △
エスクリは、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた業界の一つです。結婚式の延期や中止が相次ぎ、一時期は厳しい状況にありました。しかし、最近では行動制限の緩和や人々のイベントへの回帰志向から、結婚式需要は回復基調にあります。同社もその恩恵を受けて売上高や利益は回復傾向にあると見られますが、少子化の進行や結婚式の多様化といった構造的な課題も抱えています。無配である点は、利益を成長投資に回していると解釈することもできますが、現時点ではその成果が株価に十分に反映されているとは言えません。今後の成長戦略として、どのような差別化や付加価値を提供していくかが鍵となるでしょう。
B. 割安性 : 〇
PBR(株価純資産倍率)が0.46倍というのは、企業の純資産に対して株価が半分以下という非常に割安な水準にあります。これは、市場が同社の資産価値を十分に評価していない、あるいは将来の収益性に対して懸念を抱いている可能性を示唆しています。同じくPBRが割安な銘柄としては、例えば光陽社(7946)などが挙げられます。ただし、エスクリの場合、配当利回りが0%と無配であるため、インカムゲインを期待する投資家にとっては魅力に欠けます。PER(株価収益率)は22.75倍と、PBRの割安感に比べると標準的な水準です。将来的な利益回復が実現すれば、PBRの是正が期待できるかもしれません。
C. 安全性 : △
自己資本比率は29.4%と、一般的に健全とされる30%をわずかに下回っています。サービス業としては極端に低いわけではありませんが、財務基盤の安定性にはやや課題があると言えるでしょう。コロナ禍の影響を乗り越える中で、借入金が増加した可能性も考慮する必要があります。今後、利益を積み重ねて自己資本を厚くしていくことが、財務健全性を高める上で重要となります。ROE(自己資本利益率)は5.02%と、資本を効率的に使って利益を上げる力がまだ十分とは言えません。
ウェディング業界の未来と「体験」の価値
エスクリが事業を展開するウェディング業界は、単に場所を提供するだけでなく、新郎新婦にとって一生に一度の「特別な体験」を創造する力が求められます。最近のニュース記事でも、イベントデザインの重要性が強調されています。
例えば、カナダのイベントデザインスタジオ「Ethereal Creators」に関する記事では、ラグジュアリーイベントのデザインにおいて「構造的な革新と感情的な共鳴の融合」がいかに重要であるかが語られています。彼らは、高級ウェディングや企業ガラ、文化的な節目となるイベントを手掛ける上で、フローラルから照明に至るまで、あらゆる細部に意図を持たせ、デザインが「感情を高揚させ、インスピレーションを与える」ことを目指しているとのことです。(参考:Meet Ethereal Creators: The Toronto Luxury Event Studio Behind the Design of Billboard Canada Women in Music – Billboard Canada)
エスクリのようなウェディング企業も、このような「体験価値の最大化」にどれだけ注力できるかが、今後の成長を左右するでしょう。単なる設備やサービスの提供にとどまらず、いかに顧客の記憶に深く刻まれるような、パーソナルで感動的な瞬間をデザインできるか。これが、少子化や多様化するニーズの中で、選ばれ続けるための重要な差別化要因となります。PBRの割安さも、市場が「体験価値」への投資やその成果をまだ十分に評価しきれていない可能性を示唆しているのかもしれません。


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